◆誰が何を、誰から守るのか◆
レバノン映画『存在のない子供たち』(2018年)は、難民家庭に育った少年・ゼインが、実の両親を訴える法廷シーンで幕を開ける。罪状は「僕を産んだ罪」。このショッキングな出だしの意味は、少年の回想が綴るドラマの展開によって明らかになる。
強制結婚させられる妹を見送ったゼインは、家を飛び出し、エチオピア移民ㇻヒルの世話になって彼女の赤ん坊の面倒をみる。ところが不法移民のㇻヒルが、警察に捕まってしまう。赤ん坊をドラム缶に入れて引きずりながら、ゼインは途方に暮れる。
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