企画展「朱明徳(チュ・ミョンドク)―帰れない故郷、扉の向こう側」が、愛知県高浜市のかわら美術館で開催中。来月には企画展「2019韓国工芸の法古創新~水墨の独白」が東京・韓国文化院で開かれる。韓国国立中央博物館では特別展「近代書画 春の夜明けを覚ます」が開催中だ。
企画展「朱明徳―帰れない故郷、扉の向こう側」は、韓国のドキュメンタリー写真の第一人者である写真家、朱明徳の写真展。
朱は、1940年に黄海道安岳郡(現北朝鮮)に生まれ、慶熙大学校史学科卒業後、23歳の頃からアマチュアカメラマンとして写真を撮りはじめた。1966年に朝鮮戦争中に滞在した米軍兵士との混血孤児などが生活する孤児院を撮影した作品の展覧会「ホルト孤児院展」で、それまで芸術写真が席巻していた韓国写真界にドキュメンタリーの視点を持ち込み、注目を集めた。
同展では同館が所蔵する朱明徳作品、近代化の中で取り残されてゆく地方の寺院や古民家などの風景や、韓国では人間界と仏の世界を隔てる門と考えられている意匠扉を繊細に撮影した作品シリーズを紹介。
韓国と日本は西洋を範とした近代化の中で、劇的な時代の変化を経験してきた。韓国の風景と文化様式を捉えた朱明徳の作品には、日本人にも故郷を思わせる懐かしさが息づいている。東アジアの文化について考える機会となる写真展だ。
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