カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを韓国映画で初受賞した奉俊昊監督の『パラサイト 半地下の家族』が、27日から先行公開、来年1月10日から全国公開される。アジア映画の研究者、門間貴志・明治学院大学文学部芸術学科教授に、同映画について寄稿してもらった。
◆韓国社会の厳しい現実を描く 門間 貴志(明治学院大学文学部教授)◆
奉俊吴監督の『パラサイト 半地下の家族(原題は「寄生虫」)』(2019)は怪作である。と、まずそう言っておこう。
この映画のモチーフとなっているのは、しばしば口にされる「半地下の匂い」である。10年ほど前、ソウルに住んでいた時、半地下の部屋というのを見かけた。
私のいたアパートにも半地下の部屋はあったが、自分の借りていた部屋はその上の階にあったので、一階半とでも呼べばいいのだろうか。その時はたいして深く考えなかったのだが、半地下の部屋は貧しい人が住むところだというイメージがあったらしい。
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