◆貧富格差、生存競争を描いた鬼才◆
前回触れたように昨年末、金綺泳(キムギヨン)監督の生誕100年を記念する特集がシネマヴェーラ渋谷で組まれた。連日ほぼ満席の盛況で、彼の人気の高さをうかがわせた。
異端・怪物・鬼才などと称されてきた金綺泳だが、近年は各国で再評価が進んでいるという。
1919年ソウル生まれの彼は、40年に平壌高校を卒業後渡日、京都で映画と演劇を独学で学ぶ。解放後、京城歯科医専に入学し、演劇運動家として活躍。朝鮮戦争が勃発すると米国広報院にスカウトされて文化映画の製作に携わる。55年、『屍の箱』で監督デビュー。以後、98年に不慮の火災事故で亡くなるまでに、計31本の作品を世に送り出す。
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