人気女優の李英愛(イヨンエ)が、14年ぶりに映画出演を果たしたサスペンス映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』が、18日から全国公開される。李英愛は6年前に行方不明となった息子を探し続ける母を演じる。鄭憲・アジアン美容クリニック院長に映画評をお願いした。
多分、20年ほど前のことだと思う。大韓航空の機上で座席前のポケットに備えられた機内販売のパンフレットを手に取って眺めていた。特に意味もなくパラパラ頁を捲っていた時、ある化粧品のモデルとして一人の東洋人女性の顔のアップ写真が載っていた。
形成外科医として「客観的な美しい顔のバランス」について考察していた当時のこと。その女性の輪郭、中心線、目、鼻、口唇とアゴの配置、全てが理想に近いと感じた。後に写真のモデルは女優の李英愛だと知った。
14歳でモデルとしてデビュー、大学卒業後は女優として順調なキャリアを歩み、南北共同警備区域(Joint Security Area)で起きた兵士の発砲事件を描いた映画『JSA』、そして世界中で人気を表したドラマ『宮廷女官 チャングムの誓い』は日本でも大ヒットとなった。その美麗と存在感から韓国では国民的女優、女優が憧れる女優として知られる李英愛。
そんな彼女が朴贊郁(パクチャヌク)監督作『親切なクムジャさん』(2005年)以来、私生活での結婚、子育てを経て14年ぶりのスクリーン復帰となり注目を集めたのがサスペンス映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』である。
本作で彼女が演じるのは、6年前に失踪した息子を捜し続ける看護師のジョンヨン。目撃情報を頼りにある漁村にたどり着いた彼女は、村の怪しげな人々に阻まれながらも、真実を追い求める必死な母親を熱演している。
韓国を代表するスターの復帰作として周囲の大きな期待の中、台本を読み「思いがけず長期間、女優の仕事を休んでいた私にとって、長い間待ったかいのある作品だと確信した」と出演を決めた理由を述べた李英愛。衰えない美貌よりも、現実に母となった彼女が、子を想う母性や心情を表現する演技者としてスクリーンの中で魅せる姿が印象的である。
つづきは本紙へ