韓国映画『息もできない』や日本映画『あゝ、荒野」などで日本でも人気の梁益準(ヤンイクチュン)の主演作『詩人の恋』が、13日から日本公開される。自然豊かな済州島を舞台に、主人公の詩人が同性の青年に対して激しい感情を抱いたことで起きる様々な出来事を通して、愛や夫婦のあり方について描いた話題作だ。鄭憲アジアン美容クリニック院長に映画評を寄せてもらった。
韓国映画やドラマを観る度に思うのが、脚本の秀悦さや俳優の演技力の高さと共に「韓国人は心底ロマンチスト」ではないかという点である。映画、ドラマの主人公たちが、対象が恋愛であれ社会や政治であれ、本人が想う理想像を求め、現実とのギャップに悩み、悲しみ、そしてもがき苦しむ姿が描かれる。
それは、よく韓国人の深層部にある感情的、精神的構造を表現するのに用いられる「恨(ハン)」と言われるのにも関係があるかも知れない。
韓流エンターテインメントが世界的評価を受ける理由はここにあるのではと勝手に推察してみる。やるせない心を声で表現したものが歌、体や動きならばダンス、そしてシンプルな言葉であれば詩であろう。韓国では多くの人が詩集を求め 駅のホームやバス停、街中に詩があふれている。
映画『詩人の恋』の舞台は済州島、30代後半にさしかかる主人公テッキ(梁益準)は、地元の港町で生まれ、おっとりした性格のまま、ただ自然や花の美しさを言葉に謳いながら生きる売れない詩人。
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