ここから本文です

2021/02/26

<韓国文化>韓流シネマの散歩道 「南山」の記憶と時の流れ   第57回                                     二松学舎大学 田村 紀之 客員教授

  • 韓流シネマの散歩道 「南山」の記憶と時の流れ   第57回                                     二松学舎大学 田村 紀之 客員教授

    李炳憲が好演した『KCIA南山の部長たち』
    Ⓒ2020SHOWBOX,HIVEMEDIACORPANDGEMSTONEPICTURESALLRIGHTSRESERVED

  • 韓流シネマの散歩道 「南山」の記憶と時の流れ   第57回                                     二松学舎大学 田村 紀之 客員教授

    逮捕後、軍事法廷での金載圭㊧

◆軍事政権支えた情報部内の対立◆

 都立大にいた頃の院生が教えてくれたのだが、今年のカレンダーはきっちり半世紀前、つまり、1971年の暦とまったく同じである。12進法と5を単位とし、60を時間の区切りとするのは洋の東西を問わない世の習い。だが、50という数字も感慨深い。

 当時の私は、経済学者の卵として、教壇に立ち始めたばかりだった。そして韓国に対する関心を強め、まずは、朴正煕時代の勉強を始めた。

 この年、英国のEU加盟交渉が妥結し、日米間では沖縄返還協定が調印された。しかしその直後、ニクソン訪中計画が発表され、金・ドル交換停止が決定され、世界中が翻弄された。前年の70年には、よど号事件や三島由紀夫事件などが起こっている。

 そして50年後の現在、年末から年始にかけての大ニュースの連続が、依然として不安定で不透明な世界情勢を浮き彫りにしている。英国のEU離脱が確定し、米中間の「新冷戦」が深刻化するなか、トランプ前大統領の煽動によるとされる連邦議会議事堂占拠という信じられない出来事が、民主主義の本場と自認するアメリカで起こった(1月6日)。


つづきは本紙へ