ルキノ・ヴィスコンティの作品を何本か、まとめて観る機会に恵まれた。コロナ自粛に疲れ果てた末の、劇場での鑑賞。やはり映画は、大スクリーンでみるに限る。
ほとんどがデジタル修正版だが、たまにフィルム版に出会うと、妙に懐かしさがわき出してくる。名作には何度観ても新しい発見があり、見逃した作品に出あったときの喜びも格別である。
ヴィスコンティを論じた書物は多いが、それぞれに切り口の違いがあって面白い。
貴族出身という彼の出自から説く論者は、反ファシズム運動、共産党への傾倒と離別、そして映像美至上主義的な世界の確立に至る過程を中心に据える。音楽や絵画、そして演劇への造詣の深さは、その出身を抜きには語れない。没落する貴族の悲哀は、時の流れに乗り遅れた主人公たちの孤独として表現される。
つづきは本紙へ