最近、まぎらわしいテーマを扱った作品の日本公開が相次いでいる。まず、フランス映画『5月の花嫁学校』(20年)。ここでの5月は、68年のいわゆる「5月革命」を指し、この頃に燃え上がった女性解放運動をユーモアたっぷりにうたったものである。
女性の参政権がようやく1944年に認められ、シモーヌ・ボーヴォワールの『第2の性』が49年に刊行されたあと、良妻賢母教育を看板とした学園が崩壊してゆくさまを、歌と踊りで締めくくった佳作である。『制服の処女』(31年。58年にリメーク)の系統に属するものだが、暗いイメージは完全に払拭されている。
つぎに、米国映画『RUN/ラン』(20年)を考えよう。多重障害のため車椅子生活を余儀なくされてきた少女(キーラ・アレン)が、母親の命じる新しいカプセル入りの薬の服用に疑問を抱くことから物語が始まる。名優サラ・ポールソン演じる母親の異様な愛情と拘束、そこからの「脱出」を図る娘の懸命な努力。二人の駆け引きが、サスペンスを盛り上げる。低予算でもこれだけの緊迫した劇が作れることを証明したものとして推奨できる。
ベルリン国際映画祭で審査員賞を獲った韓国映画『はちどり』(18年、キム・ボラ監督)の少女ウニも、孤独からの「脱出」を夢見る。
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