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2021/06/11

<韓国文化>朝鮮独自の文字創製に命を懸けた世宗

  • 朝鮮独自の文字創製に命を懸けた世宗

    チョン・ホン 1963年、東京・新宿生まれ。韓国・延世大学校医学部卒。上野にアジアン美容クリニックを開業。帝京大学形成外科、美容外科非常勤講師、アンチエイジング手術を得意とする

  • 朝鮮独自の文字創製に命を懸けた世宗

    ソン・ガンホ主演の『王の願い―ハングルの始まり』
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 朝鮮独自の文字創製に命を懸けた朝鮮第4代国王・世宗と、最下層の身分ながら何カ国もの言語に詳しい僧侶とその弟子らが協力し、新たな文字作りに取り組む『王の願い―ハングルの始まり』が、25日から東京・シネマート新宿ほか全国順次公開される。鄭憲・アジアン美容クリニック院長に映画評を寄せてもらった。

 「はじめに言葉ありき」。新約聖書の有名なフレーズである。もちろん、ここでいう言葉(ロゴス、logos)とはイエス・キリスト自身を指すとされ、一般的なことば=言語ではない。しかし、弟子たちの言葉がヘブライ語や古代ギリシア語で聖書として残されなければ、キリスト教は世界的な宗教とならなかったことは間違いない。それはイスラム教におけるコーラン、仏教における仏典も同様である。宗教に限らず、人々が話した言葉が文字として表記されてこそ、多くに伝えられ後世にも残される。また、それが彼ら独自の文字であるほど、文化的な独立性は強いと評価して良いのではないか。

 1392年、高麗の武将であった李成桂(イ・ソンゲ)により建国された朝鮮王朝。衰退する元の支配から脱し、中国の明に対しては朝貢を行う関係だった。政治、文化その他、多くについて明の影響を強く受けるなか、当然ながら文字も漢字を基本とし、支配階級の知識、教養として使用されていた。そのような背景のもと、1418年、朝鮮王朝第4代国王に即位したのが世宗である。幼少時より非常な読書家で、様々な学問に対する博識と分析力に秀でた人物だった。

 即位後、宮中に集賢殿という学問研究所を設置し、身分を問わず優れた学者を募る。日時計や水時計、測雨器、天体観測器など、民衆の生活に役立つ発明を次々と主導し、韓国の歴史上もっとも優れた君主として世宗(セジョン)大王の敬称で呼ばれ、1万㌆札にも肖像と天体観測器が描かれている。そして数多くの世宗の業績の中でも最も偉大なものと評価されるのがハングル文字の発明であろう。


 『王の願いーハングルの始まり』は、朝鮮独自の文字「訓民正音」の創製(新しく作り出すこと)に情熱をかけた世宗と、王の要請を受け共に懸命に取り組んだ人々の苦悩の物語である。監督・脚本は同じく朝鮮王朝の有名な出来事を題材にした『王の運命―歴史を変えた八日間』で数々の脚本賞を手にしたチョ・チョルヒョン。同作品で朝鮮第21代国王、英祖(ヨンジョ)を演じた名優ソン・ガンホが今回は世宗を熱演する。


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