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2021/10/29

<韓国文化>一編の清廉な詩のような作品

  • 一編の清廉な詩のような作品

    チョン・ホン 1963年、東京・新宿生まれ。韓国・延世大学校医学部卒。上野にアジアン美容クリニックを開業。帝京大学形成外科、美容外科非常勤講師、アンチエイジング手術を得意とする

  • 一編の清廉な詩のような作品

    若手人気俳優のハン・ジミンとナム・ジュヒョクがダブル主演した『ジョゼと虎と魚たち』
    OriginalFilmⒸ2003"Josee,theTigerand
    theFish"FilmPartners.AllRightsReserved.
    Ⓒ2020WarnerBros.Ent.AllRightsReserved

 日本の作家、田辺聖子の短編小説「ジョゼと虎と魚たち」を韓国人気若手俳優のダブル主演で映画化した純愛ラブストーリー『ジョゼと虎と魚たち』が29日、全国順次公開される。鄭憲アジアン美容クリニック院長に映画評を寄せてもらった。

◆日本の小説を映画化◆

自らを〝ジョゼ〟と名乗る足が不自由な主人公と大学生・恒夫の恋愛物語『ジョゼと虎と魚たち』は、1985年に発刊された田辺聖子の短編小説である。

 〝ジョゼ〟とは、フランスの作家フランソワーズ・サガンの作品「一年ののち」で登場する、裕福な暮らしをする早熟な精神・価値観を持ったヒロインの名前。しかし、若干空想癖のある自称〝ジョゼ〟は、生活保護を受ける祖母との二人暮らしの境遇、孫が人前に出ることを嫌う祖母のため、引きこもりの様な生活をしている。

 この短編を原作に、犬童一心監督により、妻夫木聡と池脇千鶴主演で2003年に映画化され、その年に数々の映画賞を受賞、翌年には韓国でも上映され高い評価を受けた。そして今回、韓国映画陣の手で、17年の時を経て新たな純愛物語としてリメイクされた。

 韓国版『ジョゼと虎と魚たち』(原題Josseジョゼ)にて、主人公ジョゼ役を演じるのは、日本で人気の韓流ドラマにも多く主演し、映画『虐待の証明』(20)では青龍映画賞の主演女優賞を受賞したハン・ジミン。その相手役の大学生ヨンソクは、映画『安市城グレート・バトル』(19)で韓国映画評論家協会賞の新人俳優賞など数々の新人賞を獲得し、最近では韓流ドラマ『スタートアップ』でも注目される、いま最もホットな若手俳優の一人ナム・ジュヒョクが務める。

 韓日両映画とも、小説の原作は踏襲しつつ両国の時代背景や社会的価値観に合わせて、独自のオリジナリティーを出すことで異なる味わいの作品となった。登場人物の設定でも、日本版はより人間臭く俗っぽい印象を受ける反面、韓国版はどこか幻想的でより甘味である。


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