◆植民地支配の厳しい現実を見つめた作家◆ 崔順愛(文教大学講師)
今年は日本を代表する作家で、ノーベル文学賞を受賞した川端康成の没後50周年にあたる。韓国でも川端文学への関心が高く、いくつもの作品が翻訳されている。崔順愛・文教大学講師に「韓国における川端康成」について寄稿してもらった。
今年は、川端康成(1899~1972)没後50周年を迎えた年である。これに関連した記念行事として日本国内では日本近代文学館主催の「没後50年・日本近代文学館開館55周年川端康成展-人を愛し、人に愛された人-」(4月2日~6月11日)、川端康成学会大会国際シンポジウム(8月19日)の開催などがある。
海外では、去る3月27日にベトナム国家大学ホーチミン市校人文社会科学大学文学部でオンラインシンポジウム「川端康成:日本からベトナムへ」が開催された。
出版物では、『文藝空間第14号川端康成没後50年特集特大号』(4月)が出版し、『〈転生〉する川端康成①オマージュ・引用編』(文学通信、9月)が予定されている。川端康成の文学の価値と成果への関心や再評価への熱気が感じられる年である。
韓国における川端康成の評価は、やはり1968年、ノーベル文学賞受賞以降からである。京鄕新聞(1968年10月18日)は「人間宝物として知られる69歳の日本人大元老作家川端康成氏の受賞」のニュースを伝え、「東・西洋の精神的架橋」の役を期待するという内容だったが、それと並んで、同日の東亜日報でも川端の受賞の感想とともに彼の履歴と重要作品を紹介している。
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