ディザスター・サスペンスというジャンルがある。惨劇を主題として手に汗を握らせる映画群を指し、韓流シネマがもっとも得意とする分野のひとつといえる。
緊迫感を盛りあげるために、タイム・リミットを設定するのが常套手段だが、それにも工夫を凝らさないと新味がなくなる。
『新感染半島ファイナル・ステージ』(20年)の主演は姜東元ほかの人気俳優たち。いわゆるゾンビ映画だ。
『新感染ファイナル・エクスプレス』から四年後の韓国は、増大する感染者たちと、狂気の軍人集団が争う場と化していた。三日間という期限内に、この両者と闘いながら大金を積んだトラックを奪い取るのが、姜東元に与えられた仕事である。
一方、『白頭山(ペクトゥサン)大噴火』(19年)はさらに手の込んだ仕掛けを準備している。地質学者・馬東石の助言に基づき、特殊チームの指揮官・河正宇は北に潜入し工作員・李炳憲と接触、核兵器を奪取し、これを地下道で爆発させて白頭山の大噴火を阻止する。
ここでのタイム・リミットは核爆発装置のカウントダウン。豪華な俳優陣によるスケールの大きな活劇は存分に観客を満足させる。ノンストップ・サスペンス『新幹線大爆破』(高倉健主演、75年)に匹敵する傑作である。
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