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2022/01/28

<韓国文化>社会の矛盾を可視化

  • 社会の矛盾を可視化

    世界的大ヒットとなった『イカゲーム』

◆弱者視点へと移行する韓国カルチャー◆

 K-POPをはじめ映画・ドラマ、そして最近は文学に至るまで韓国カルチャーの快進撃が止まらない。ヒットの要因はどこにあるのか。崔順愛・文教大学講師に「弱者視点へと移行する韓国カルチャー」と題した寄稿文を寄せてもらった。

 韓国で2016年に出版された、趙南柱著『82年生まれ、キム・ジヨン』は、フェミニズム小説として例のない累計130万部を超えたベストセラーとなり、映画化されると観客動員数367万人を記録した。日本でも18年、筑摩書房から刊行され21万部を突破するヒットとなった。また季刊誌『文藝』19年秋号の特集「韓国・フェミニズム・日本」が86年ぶりの3刷を重ねた。この人気ぶりは、韓国の映画やドラマ、K-POPに続く韓国カルチャーの波が文学にも及んだことを示している。同年に『私は私のままで生きることにした』(50万部)、『あやうく一生懸命生きるところだった』(25万部)、『死にたいけどトッポッキは食べたい』(韓・日67万部)といったエッセーの刊行が相次ぎ、韓国文学人気が続いている。これらのエッセーは、多様性を満たす翻訳文学でありながら、読者のニーズに合う当事者感覚で共感できたのだろう。


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