在日コリアン2世のヤンヨンヒ監督が、韓国現代史最大のタブーとされる「済州島四・三事件」を体験した母を主役に撮影したドキュメンタリー映画『スープとイデオロギー』が10日、東京・ユーロスペースほか全国順次公開される。門間貴志・明治学院大学文学部教授に、同映画について寄稿してもらった。
◆『スープとイデオロギー』を観て 門間 貴志(明治学院大学文学部教授)◆
ヤン監督のドキュメンタリー映画『スープとイデオロギー』は、目下のところ最新作で、かつこれまでの集大成的なものを感じさせる力強い作品で、非常に圧倒された。
私が彼女を知ったのは、北朝鮮と日本が合作した劇映画『バード』でのことである。当時私が勤務する劇場でこの映画は公開された。北朝鮮の映画は国家の管理下にあり、国策に反する表現は不可能である。当然映画に登場する日本や韓国のイメージはネガティブなものであった。
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