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2022/12/02

<韓国文化>母性、民族性、個のはざまを生きる 寄稿 崔順愛

  • 母性、民族性、個のはざまを生きる

         李恢成作『砧をうつ女』

◆在日の現実を文学で日本社会に広める◆ 崔順愛(文教大学講師)

 『砧をうつ女』(1971年)で日本文壇初の外国人として芥川賞を受賞した在日朝鮮人の小説家、李恢成。その『砧をうつ女』について、「『民族の娘と母』近代的な『個』のはざまで読み返すジェンダー視点」と題して崔順愛・文教大学講師に寄稿してもらった。

 『砧をうつ女』は1971年、第66回芥川賞を受賞した作品である。在日外国人初の芥川賞受賞は、日本社会に在日朝鮮人の現実を文学を通して広める契機となった。

 作家自身が政治組織から離れ、「民族的テーマ」を抱えた在日朝鮮人文学の方向性を固めると同時に、出発点となった小説だと言える。

 小説の舞台は樺太(からふと・現在サハリン)で、朝鮮人の一家が日本でも朝鮮でもない第三の場所で複数の文化を生きる。


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