香港映画『理大囲城』(20年)など、雨傘運動を扱った作品を立て続けに観て、なぜか軍事政権時代の韓国での経験を想い出し、涙ぐんでしまった。当時の記憶をたどりながら、沈黙を余儀なくされてきた人々に思いを馳せよう。
まず、雨傘運動と日本の「安保闘争」を比較する論評が少なくないが、これは自由を守る運動と不自由を指向する思想とを意識的、意図的に混同させるものでしかない。
そもそも安保闘争とは何だったのか、日本人の一人として私は私なりに深く反省している。60年安保を経て、時のリーダーたちがさっさと転身していった。なかには、オルテガの『大衆の反逆』(ちくま文庫)を振りかざし、大衆の愚昧さを嘲笑する人物もいた。
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