◆福田村と堤岩里の犠牲者に寄せて◆
毎年、8月に入ると日本全体が平和主義者の集まりとなり、9月1日の関東大震災被災者追悼で幕を閉じる。広島と長崎は、加害の歴史が招いた悲劇という側面を持つ。
また関東大震災は、群集心理に付け込んだ一定の意図的な世論操作による悲劇を伴った。どこかの知事のように、すべてを被災者一般への追悼で片付けてはならない。
このほど、森達也監督による映画『福田村事件』(23年)が、関東大震災100年という絶好のタイミングで公開の運びとなった。関係者の熱意と尽力に敬意を表するとともに、一人でも多くの観客に、それも他人事としてではなく、自分の内部に潜む獣性が集団の名を借りて狂気と化すおぞましい過程として鑑賞して頂きたい。
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