◆「試練を乗り越えた人生に鼓舞された」◆
在日1世のバイオリン製作者、陳昌鉉(チン・チャンヒョン)さんの遺品が、遺族からの寄贈を受けて、故郷の金泉市で今月30日に竣工する『甘文国歴史文化展示館』に展示される。在日2世で陳さんと親交があった河正雄(ハ・ジョンウン)・光州市立美術館名誉館長に、バイオリン製作を通して陳さんが伝えたことについて、寄稿してもらった。
1973年、リーダーズダイジェスト誌で若宮次郎の文「東洋のストラディヴァリウスを目指す陳昌鉉・丸太小屋のバイオリン」を読み、私は在日1世の業績が世界に紹介されたことを我がことのように喜んだ。
「人間、試練があるとひらめくものだ。在日というマイノリティーのハンデを逆にばねとして、不可能を可能にし試練を乗り越えた。在日を取り巻く諸条件こそが逆に在日の強みである。感性を磨く源泉であった。貧すれば鈍するという生き方は私の哲学に反する」という言葉は在日2世の私を強く鼓舞した。
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