学問と思想の自由を求めて脱北した天才数学者と、数学が苦手な韓国の男子高校生との交流を描いたヒューマンドラマ『不思議の国の数学者』が28日、東京・シネマート新宿ほか全国順次公開される。数学者のハクソン役に『シュリ』『オールドボーイ』などの名優・崔岷植、若手俳優キム・ドンフィがジウ役を演じている。門間貴志・明治学院大学文学部教授に映画評を寄せてもらった。
◆学問の自由を求めた科学者 門間 貴志(明治学院大学文学部教授)◆
私は幼い頃に科学者にあこがれたものだったが、中学時代にあきらめた。科学が数学を必要としていたからだ。数学は苦手教科だった。小学校時代にピアノを習うことを勧められた時にかたくなに拒んだのは、楽譜が数学であることを直感したからだ。
「数学は美しい」とはよく言われる。実感は難しいが、私もそうだと思う。どこまでも続く円周率の数字は無限の意味を感じさせるし、素数の並びの不規則性もまた同様である。
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