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2024/03/08

<韓国文化>韓流シネマの散歩道 芸域が広く演技力に長ける 第77回   二松学舎大学 田村 紀之 客員教授

  • 韓流シネマの散歩道 芸域が広く演技力に長ける 第77回   二松学舎大学 田村 紀之 客員教授

    大災害による崩壊を免れた高層アパートで生存者のサバイバルを描いた『コンクリート・ユートピア』
    (C)2023 LOTTEENTERTAINMENT&CLIMAXSTUDIO,INC.ALLRIGHTSRESERVED.

◆トップスター、李炳憲の魅力を探る◆

 韓国映画『コンクリート・ユートピア』(23年)は不思議な作品である。監督・脚本の巧さもさることながら、主役の李炳憲(イ・ビョンホン)には凄みが増してきた。夫婦役の朴叙俊と朴寶英、そしてドラマ『愛の不時着』で注目された金善英など脇を固める演技陣も申し分ない。

 画面は未曾有の大災害の直後とおぼしい、コンクリート瓦礫のなかでポツンと崩壊を免れた一棟の高層アパート(皇宮アパート103号棟、日本式にいえばタワー・マンション)と、その周辺の殺伐荒涼とした風景から始まる。アパート内部での火災や軽犯罪だけでなく、他のアパートの生存者たちが救いを求めて押し寄せてくる。


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