韓国民主化運動の象徴歌「朝露」の作者で、ロック・ミュージカル『地下鉄1号線』の翻案・演出家でもある金敏基(キム・ミンギ)氏が運営するソウルの劇場街・大学路の学田ブルー小劇場が昨年、閉館を表明。直後から文化界による再建運動が起こり、新たな創作空間として再出発する予定だ。脚本家で日韓演劇交流センター専門委員の津川泉さんに文章を寄せてもらった。
◆「大学路」の演劇文化を守り続ける意味 寄稿 津川泉(脚本家・日韓演劇交流センター専門委員)◆
昨年11月、4年ぶりにソウルを訪れ帰国すると、金敏基(1950~)の学ハク田チョンブルー小劇場閉館のニュースが飛び込んできた。同劇場で上演中のロック・ミュージカル『地下鉄1号線』(フォルカー・ルートヴィヒ原作・金敏基翻案・演出)を観たばかりだった。
金敏基は韓国民主化運動の象徴歌「朝露」、マダン劇「工場のともしび」で知られる。
大学路マロニエ公園裏通りのポスターで『地下鉄1号線』上演を知り、チケットを予約。畑澤聖悟「親の顔が見たい」観劇。12年に韓国で初めて朗読公演され、評判となり5カ月足らずのうちに本公演が実現。ひと月の間に1万3000人の観客を動員し、韓国で映画化もされた。ただ、チラシの韓国語翻訳者名の不記載は、看過できない問題である。
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