金融監督委員会はこのほど、ハンビット、ソウル、平和、光州、慶南など公的資金が投入される6行の発行済み株式のすべてを強制無償消却(100%減資)すると発表した。これによって、これまで6行に投入された公的資金8兆3000億ウオンの回収が不可能になり、被害を受ける外国人株主や少数株主らの損害賠償訴訟が相次ぐのではないかと懸念されている。
金融監督委員会は、6行すべてが負債が資産を上回る債務超過状態に陥ったことから、不良金融機関に指定し100%の減資命令を下す一方、従来の株主には投資資金の一部を回収できるよう株式買収請求権を供与する。
預金保険公社は、これら6行に総額7兆1000億ウオンの公的資金を追加投入する方針だ。ただし、金監委は各銀行の労働組合が29日までに人員整理などに対する同意書を提出しない場合、公的資金の投入を見合わせると表明している。
公的資金の投入内訳は、ハンビット3兆2000億ウオン、ソウル3兆3000億ウオン、平和2200億ウオンなど。これに98年にソウル銀行に投入された1兆5000億ウオンの公的資金が昨年100%減資されたことを考慮すると、不良銀行につぎ込んだ公的資金は8兆6000億ウオンに達する。
これまで政府はハンビット、ソウル、平和の各行に6兆7000億ウオンの公的資金を投入したが、結果的に経営正常化に失敗したことになり、今回投入される7兆ウオンの公的資金も、水泡に帰すのではないかという懸念の声が出ている。
政府は、銀行の経営が正常化すれば元金を回収できると主張しているが、1次、2次と投入した公的資金(15兆ウオン以上)をすべて回収するとなると、少なくてもいまより10倍以上株価が上昇しないと実現は難しいもようだ。
政府が完全減資を決定するうえで最も苦慮したのは、一般労働者が株主の大部分を占める平和、光州、慶南銀行などの扱いだ。地域住民が資本金の形成に寄与した地方銀行に対しては、少数株主の持ち株を差別消却するという意見もあったが、政府は「株主間衡平」の原則に基づき、完全減資の措置をとった。これによって、「銀行を生かそう」と増資に参加した地域住民や、韓国の国際的地位を信じて投資した外国人投資家が膨大な損害を被ることになった。
債務超過の不良銀行を再生するには完全減資以外に適切な方法がないが、天文学的な国民の税金を無駄にしたことや、国家の信用度を失墜させたたことに対する政府の責任は今後各方面から追求されそうだ。