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2000/11/17

<韓国経済>官民で景気予測に明暗

 低迷が続く景気は再び回復するのか? 今後の景気論争をめぐり、楽観論と悲観論が交錯している。財政経済部は構造調整の進行を加速させることで「来年春には回復」という見解を示しているが、民間のシンクタンクは、米国をはじめとする世界経済の成長鈍化で「景気は低下の一途をたどる」と悲観的見方を強めている。

 現在の景気を立ち直らせるには投資と消費の活性化が必要だ。9月の産業生産増加率は15・1%で、前月(24・6%)より多少鈍ったが、産業界の景気の冷絵込みはそれほど深刻ではない。

 しかし、耐久消費財の出荷増加率は、8月のマイナス15・9%に続いて9月はマイナス23・5%に急落した。設備投資も8月の38・1%から9月は18・9%と落ち込んでいる。いずれも8月を頂点に落ち込みが激しい。

 韓成沢・財政経済部政策局長は、「景気のピークが過ぎたのではなく、景気循環サイクルのなかで一つの頂点を越えただけ」とし、「構造調整が終わり、その成果が現れる来年上期からは、再び上昇勢に転ずるだろう」という見方を示している。

 陳稔・財政経済部長官も、「消費と投資は心理的要因に影響を受ける」とし、「構造調整が終わり、海外資本が流入して金融市場が安定すれば、消費と投資は回復するだろう」と述べている。

 一方、大信経済研究所の金永翊・経済調査室長は、「第3四半期が頂点で、すでに下降局面に入っている」とし、「短期の反騰は可能でも、上昇局面に乗るのは難しい」と語る。その理由として金室長は、米国景気の成長鈍化とユーロ安、東南アジアの通貨危機再発兆候など世界経済鈍化の兆しが明確になっていることを挙げ、景気波及効果が大きい輸出に不安材料があると指摘する。

 さらに原油の高騰、半導体景気の不透明で、早期の構造調整効果も期待できないとしている。
 サムスン経済研究所の丁文建・常務も、「来年の景気が企業・金融構造調整と資本市場の回復にかかっているが、楽観できる要素がない」と話し、韓国銀行の張炳和・経済預蓄チーム長も、「来年の景気は、輸出にかかっている。第4四半期に15%台と予想されている輸出増加率が、来年10%以下に落ちれば、景気の下降速度はますます速まるだろう」と懸念している。