韓国の主要銀行21行(債権団)は3日、自力での再建が不可能な52社に対し、清算、法定管理(会社更生法)、売却および合併などにより整理すると発表した。
52社の整理対象企業のうち11社が建設会社であることから、建設業界では退出(整理)の嵐が一気に吹き荒れることになりそうだ。
清算対象企業は、法定管理中の大東住宅、サムスン自動車、宇成建設、一成建設と、和議中の三益建設、西光、真露総合食品、真露総合流通など。また、これまで正常企業に分類されていた光銀ファイナンス、起亜インタートレード、サムスン商用車、海宇(旧ヘテ飲料)も清算の対象に分類された。
美州実業は、9月にワークアウト(財務改善作業)が中断され、法定管理を申請していたが、それも棄却され、事実上の退出が確定した。今後、債権団は、これら企業の資産を整理・売却し、負債の償還に充てる方針だ。法定管理の対象になった企業については、法院(裁判所)が破産宣告を下す見通しだ。
新たに法定管理に入る企業は、東亜建設、東保建設、大韓通運、瑞韓など。すでに法定管理中の東洋鉄鋼、世界物産、友邦、青邱、太和ショッピング、ヘテ商事など6社については、新規支援を中断する。すでに債権団は法院に破産宣告を下すよう意見書を提示している。
東亜建設は債権団のワークアウト中断決議で最終不渡りが発生し、近日中にも法定管理を申請する見通しだ。
これら企業が法定管理を申請したとしても、再生の見込みがあるわけではない。法院が再生の可能性がないと判断し、申請を棄却すれば、自動的に清算手続きがとられることになる。
今回の整理対象企業のうち、20社と一番多かった売却企業には、大宇自動車、大宇重工業(機械、造船)、大宇電子など大宇系列10社が含まれている。ワークアウト企業である新東邦は海外売却が進められており、米カーギル社への売却が有力だ。製紙の世豊も米ボーター社と売却契約を結んでいる。
メクソンテレコムは先月末、セウォンテレコムへの売却が完了した。米ネイバス社との契約が破棄された韓宝鉄鋼も再売却を推進している。
合併企業では、甲乙紡績が甲乙に合併される。また甲乙の化繊分野と甲乙紡績の紡績分野を統合し、事業の相乗効果を高める方針だ。
今回の整理で、清算、法定管理の対象となった企業には、有名な大企業も名を連ねている。
サムスン商用車の清算決定で、サムスングループは自動車事業の進路を絶たれることになった。サムスン商用車は95年に設立、98年から1㌧トラックの生産を開始し、本格的な商用車事業をスタートさせた。
年産6万台の工場を建設したが、実質生産台数は2万台にも満たず、昨年の売上高は1075億ウオン、純損失2065億ウオンと低迷。最近は仏ルノーが買収交渉を破棄したことで、車両の販売が中断していた。
信和建設は、昨年実績が売上高2713億ウオン、純利益11億ウオンだったが、今年上期は売上高878億ウオンで1250億ウオンの赤字を出すなど経営が極度に悪化し、法定管理に入っていた。
大韓重石は、94年に公営企業の民営化1号として居平グループに譲渡された。しかし不良経営で企業実績が悪化し不渡りを出した。現在は法定管理中で、生産施設をイスラエルのイスキー社に売却、事実上整理を終えている。
東亜建設は施工能力で業界7位。現在も海外10カ国で17の工事、国内では110もの政府発注工事と1万2300世帯のアパート建設工事に従事している。98年にワークアウトに入り、2度にわたる債権団の債務調整にもかかわらず、経営再建に失敗。経営陣もこの間に3度交代するなど、内部改革にも失敗した。94年には東亜建設が施工した聖水大橋の崩壊事故で対外信用度が大きく失墜した。
大韓通運は、東亜建設に対する7000億ウオンの債務保証があだとなり、災難を被った。東亜建設の系列社だった時期に3000億ウオンの担保を提供し、7000億ウオンの債務保証を立てた。しかし東亜建設がワークアウトに入ったことで、対外信用度が下落した。
しかし、物流会社としては業界1位で、昨年は140億ウオンの利益を出すなど基礎体力は十分だ。いったん財産保全申請を法院に出し、経営正常化の道を模索することになりそうだ。
ヘテ商事は、78年に総合貿易会社として出発。不渡り直前の96年には売上高が800億ウオン台に達した。しかしグループの不渡りで経営が悪化し、昨年11月に法定管理を申請した。今年5月、法定管理開始決定を受けたが、債権団が新規資金支援を中断する決定を下した。昨年の売上高は2600億ウオン台。
◆清算(18社)
起亜インタートレード、サムスン商用車、漢拏資源、サムスン自動車、信和建設、ピアリス、三益建設、真露総合食品、真露総合流通、光銀ファイナンス、大東住宅、美州実業、宇成建設、西光、一成建設、大韓重石、海宇(旧ヘテ飲料)、養英製紙
◆法定管理(11社)
大韓通運、嶺南日報、東洋鉄管、世界物産、友邦、ヘテ商事、東亜建設、東保建設、青邱、太和ショッピング、瑞韓
◆売却(20社)
大宇自動車、大宇自動車販売、双竜自動車、大宇電子、大宇電子部品、大宇通信、京南企業、オリオン電気、大宇重工業(機械、造船)、(株)大宇(建設)、双竜重工業、高合、ヘテ製菓、メクソンテレコム、韓宝鉄鋼、泰興産業、進道、世豊、新東邦、エドゥネーション
◆合併(3社)
甲乙、甲乙紡績、双竜資源開発