昨年、受注高で世界トップとなるなど好調を見せている造船業界と海運業界は、今後も特需景気で高成長を維持する見通しだ。ドイツ、フランス、ベルギーの3カ国が、遅くても2017年から単一船体構造のタンカーの入港を全面的に禁止することを決めたのに伴い、現在運航されているタンカーのうち2000隻程度が今後15年間に二重船体に切り替わると予想されるためだ。このため、造船界は、追加需要に大きな期待を寄せている。
船主協会と関連業界によると、ドイツ、フランス、ベルギーは最近、英ロンドンで開かれた国連国際海事機関(IMO)の海洋環境保護委員会で、2015年または2017年から、事故発生時に原油流出の危険が高い単一船体タンカーの域内入港を全面禁止することを決めた。
この措置により、現在運航されている全世界のタンカーのうち1500―2400隻は、二重船体タンカーに代替されると予想され、今後15年間に、世界中で560億~920億ドル規模のタンカーの発注が見込まれる。
現代重工業、サムスン重工業など国内メーカーは、超大型タンカー(VLCC)の需要だけで310隻、230億ドルに達すると推定し、タンカーの追加発注が急増するものと期待している。
昨年、世界のタンカー発注量の68%を韓国メーカーが確保したことから、今後タンカーの代替が本格化すれば、長期にわたり好況が続くとみられている。
サムスン重工業は、「通常はタンカーの解体量が年100隻程度だが、今回の規制で年間50隻ほどの追加需要が生じるだろう」と見込んでいる。
一方、国内の海運業界は、日本など主要国の船会社が致命的な打撃を受ける半面、国内の海運会社は利益をさらに増やせると分析している。
現在、国内の船会社が保有している単一船体タンカーは、汎洋商船5隻、SK海運7隻、現代商船3隻など合わせて19隻だが、いずれも建造されて4―6年しか経っておらず、2015年までは安全な運航が可能だ。これに対し、日本は77隻の単一船体タンカーを保有しているうえ、現在建造中の94隻のうち単一船体タンカーが83隻を占めている。
さらに韓国の海運会社が運航中のタンカーの半分以上はレンタルで使用しており、今回の措置で受ける打撃は小さいとみられる。