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2000/08/11

<韓国経済>サムスン物産アンゴラで44億ドルの工事受注

 サムスン物産は、アフリカ南西部のアンゴラ共和国政府から、道路、港湾などのインフラ整備から製油、造船などの産業開発、農業支援まで、国家の経済開発に関するコンサルティングおよび開発事業を受注した。
 韓国企業が海外で大規模なプロジェクトを推進する事例はあるが、国家全体の経済開発プロジェクトを請け負うのは今回が初めて。

サムスン物産副会長はこのほど、アンゴラ共和国の首都ルアンダでサントス大統領と会い、戦略的なパートナーシップに合意した。

 第1次事業としてサムスンは、国営石油会社ソナンゴル(SONANGOL)から44億ドルの製油工場および海洋設備プロジェクト工事を受注した。製油工場プロジェクト(27億ドル)はSK建設とコンソーシアム(共同企業体)を形成して工事にあたり、アンゴラ南部のロビートに1日あたり生産量20万バレルの工場を2004年までに建設する。

 海洋設備プロジェクト(17億ドル)は、アンゴラ最大の油田カビンダの原油と天然ガスを探査し、貯蔵のための油田設備を建設する。同事業は、仏ストルト社、サムスン重工業などとコンソーシアムで推進する。

 サントス大統領は、これらのプロジェクト以外に▼造船所の近代化▼ダイヤモンド、鉄、銅などの資源開発▼道路、港湾などインフラ整備▼内戦で稼働が中断している繊維工場の正常化など8大プロジェクトをサムスンに要請した。

 サムスンは提携先のSK建設を含む国内建設会社と共同でこれらの事業を進める計画だ。

 また必要な資金を調達するため、世界銀行など国際機構に協力を働きかける。世銀には今年6月にアンゴラの復興事業への支援を要請済みで、世銀は最大限の支援を約束しているという。さらに国際開発プロジェクトに参加した経験をもつ人材を国内で確保するため、鉱業振興公社、農村経済研究院などの専門機関に協力を要請する方針だ。

 サムスン物産は、95年にカザフスタン政府の要請で同国の銅精錬所の委託経営を引き受け、2年後に世界有数の銅コンビナートに成長させたのをはじめ、97年にはルーマニアのステンレス工場を買収し、800万ドルの収益をあげるなど、90年代に入って最近までに8つの海外事業で大きな業績を残している。

 これまで米、英、仏、日本といった先進国企業の独断場であった「カントリーマーケット」分野に韓国企業が参入したことは、通貨危機以後、国際競争力の低下で苦戦している韓国企業の起爆剤になる見通しだ。また、これを契機に韓国に対する途上国からの経済支援要請が増えるものと期待されている。