1バレルあたり30ドルを超える原油価格の高騰が続くなか、中東特需への期待感が膨らんでいる。国内の建設企業や商社は、オイルマネーで潤った中東の資金を確保しようと、はやくも受注戦略を練りはじめた。これを受けて政府機関の大韓貿易投資振興公社(KOTRA)も、企業の中東進出をバックアップするため、支援策を整える方針だ。
韓国重工業は最近、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビの電力庁から5億ドルの大規模な海水淡水化プラントを一括受注した。
現代総合商事も今年4月、イラク電力庁が実施した超高圧電力ケーブルの入札で1500万ドルの輸出契約を結ぶことに成功。さらに現代は、各分野ごとの専門家5人で構成した市場調査団を今年5月、イラクに派遣し、本格的な中東進出の準備を進めている。
同じく5月にクウェートから9400万ドル相当の石油化学プラントを受注したLG商事は、オマーンが10月末からスタートする10億¥ドル¥規模の製油工場建設プロジェクトへの参加を狙っており、リビアが進めている4億¥ドル¥規模の製油工場プロジェクトにも強い関心を寄せている。
一方、信和建設と大林産業が、今年上期に原油の輸送設備工事とシステムの設計、パイプライン工事をクウェートから受注した。信和建設の受注高は1億3000万ドルに達している。
現代建設、サムスン物産、東亜建設、大宇なども今年上期にUAE、サウジアラビア、リビア、エジプトなどからインフラ(社会間接資本)拡充のための建設プロジェクトを受注しており、さらに追加受注が有望視されている。
KOTRAは、中東産油国の景気が今後本格的に回復し、各種インフラ関連プロジェクトの発注が大幅に増えると予想。国内企業の進出を積極的に支援していく構えだ。KOTRAは、建設プロジェクト以外にも、自動車部品、携帯電話、衛星放送受信機、家電製品、織物などの輸出が有望だと分析。今年11月に中東最大の貿易港をもつドバイで開かれる商品展示会に国内企業80社を参加させ、市場開拓を促進する方針だ。
業界関係者は、「中東の国家が石油依存型の産業構造から脱皮するため、ガス関連施設、電力、淡水化、通信分野で大々的な投資を計画している」とし、「現地の企業や、米、日本、EUなどの先進国企業との提携も視野に入れ、受注に力を注ぐ」と語っており、各企業は、中東への進出を加速するとみられる。