ここから本文です

2001/12/21

<韓国経済>内需振興で景気回復図る

 政府はこのほど、金大中大統領主宰の経済長官懇談会を開き、来年度の景気対策としてサービス業など新産業の育成に力を注ぎ、内需の振興を図ることを決めた。また経済基盤の強化と景気回復のために金融および企業の構造調整を加速化し、財政および金融政策に弾みをつけることで合意。さらに、深刻な社会問題となっている青少年の失業問題については、職業訓練の機会を拡大し雇用の創出を図るとしている。

 金大中大統領は、韓国経済の当面の課題として▽競争力の強化▽ニッチ(隙間)市場の攻略と市場多角化などを通じた輸出拡大▽内需振興――の三点を挙げた。

 このうち内需振興策については、観光、文化、エンターテインメント、レポーツ(レジャーとスポーツ)、シルバー産業、デザインなど10項目をサービス産業の重点育成分野に指定し、積極的に支援していくことで合意した。

 一方、長い間の懸案事項になっている金融および企業の構造調整問題は、大宇自動車、ハイニックス半導体など市場の不安要因となっている大手企業の処理を年内に完了することを確認。また銀行を通じて企業の財務状況を随時チェックし、不良の兆候がある企業については適宜整理または更生措置を講じる。特に今年10月に不良の兆候があるとして監視対象に選定された1136社については、来年1月15日までに信用リスク評価を終え、適正な措置をとる方針だ。

 一方、金大統領は、7・1%に達している青少年の失業率を深刻な社会問題と受けとめ、失業対策を徹底し、早急に5%台に引き下げるよう関係部著の長官に指示した。政府は対策として、5246億ウオンを投入し、30万人の青少年に対し職業訓練と就職あっせんを実施することを決めた。

 特に未就業者と高校および大学の新卒者5万人を対象に「青少年職場体験プログラム」(インターン制度)を実施、さらにIT(情報技術)教育の一環として学生1万人を対象に「中小・ベンチャー企業現場体験プログラム」を新設する。

 さらにW杯の通訳ガイド、文化遺産ガイドとして5000人、小中学校の電算教育補助要員として5500人を採用する計画だ。このほか、来年の公務員新規採用を今年の6000人から9000人に拡大することも検討している。