DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)半導体で世界3位のハイニックス半導体(シェア17.2%)は、同2位の米マイクロン・テクノロジー(同18.9%)と合併を含む包活的提携を模索することで合意した。すでに先週から提携交渉がスタート、来年1月までに具体的な提携の内容を詰める。2社の合併が実現すると世界シェアが36
%を越える巨大メーカーが誕生することになり、世界DRAM市場の勢力図が大きく塗り変わることになる。
ハイニックス半導体の朴ジョンソプ社長はこのほど、米マイクロンとの包括的提携交渉を進めていることを明らかにし、「マイクロンとの提携は技術開発から合併まで、すべての可能性を視野に入れたものだ」と語った。
マイクロンは財務構造が堅実なうえ、DRAM事業を主力としており、ハイニックスは財務構造に問題はあるが、高い価格競争力を維持し、優秀な人材を保有していることから、両社の提携が生み出すシナジー(相乗)効果は計り知れない。
ハイニックスとマイクロンが包括的提携を結べば、供給過剰状態にあるDRAMの価格にも大きな影響を与えるとみられる。両社はDRAM市場の主導権を握り、価格をコントロールすることも可能になる。
ハイニックスは、今回の新しいパートナーを得たことで、正常化に向け2枚のカードを手にした。中国のコンソーシアムと設備の売却交渉をしながら、一方でマイクロンと包括的提携を模索するという戦略で、どちらのカードを選択しても現在の流動性危機から抜け出せる公算が強くなった。
両社の提携で一番影響を受けるのは現在シェア20・9%で世界1のサムスン電子だ。ハイニックスとマイクロンが合併するとトップの座を失うことになる。
しかし、その一方で中国市場への本格進出をねらうサムスンにとっては、ハイニックスの設備が中国に買収されるよりマイクロンとの合併のほうが打撃が少ないとする見方もある。
両社の提携推進は、現在進行中の独インフィニオン(シェア4位)と東芝(同6位)の合併交渉を加速化させるのはもちろん、他のDRAMメーカーの撤収を誘発することにもなりそうだ。