サムスン電子は、世界初となる直径12インチ(300㍉)の次世代半導体ウエハーを開発、これを使った256メガDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の量産に入った。また8インチ(200㍉)ウエハーを加工し、4月から世界に先駆けてサンプル出荷してきた512メガDRAMの量産も開始した。半導体不況で世界のライバル社が投資を自粛するなか、サムスンは、アクセル全開でDRAM市場で独走体制を築く構えだ。
サムスン電子の黄昌圭・半導体メモリー事業担当社長は、このほど記者会見し、512メガDRAMの量産開始と次世代12インチウエハーの生産体制を築いたことを明らかにした。さらに、0・12マイクロ(マイクロは百万分の1)メートル以下の微細加工技術を使って、来年から12インチウエハーを使った512DRAMの量産に踏み切る計画を発表した。
サムスンが開発した12インチウエハーを使うと、現在の8インチより生産性が2・3倍向上する。現在の12インチウエハーの生産量は月1500枚水準だが、これを月2万枚の量産体制に引き上げれば、生産性が大幅にアップする。
現在の半導体市場は128メガから256メガに移行するもようだ。
黄社長は、「年末までに0・12マイクロメートル級の微細加工技術を完成させ、2003年には0・10マイクロメートル、2004年には0・07マイクロメートルまで精度を高める」と述べた。
これによってサムスンは、メモリー事業構造を高度化し、売上高を2000年の88億ドルから2005年には200億ドルに引き上げ、メモリー半導体市場で独走体制を築く。さらに非メモリー分野にも力を注ぎ、半導体市場でのシェアを現在の世界4位から2005年には米インテルに次ぎ2位に躍進する計画だ。
このほか、▽DRAMへの依存度を下げ、フラッシュメモリーを中核製品に育成▽需要が拡大している携帯電話向けNOR型フラッシュメモリーへの参入▽2005年までにフラッシュメモリーとSRAMの生産比率を50%にする――などの事業構想を明らかにした。
サムスンの強気の市場戦略によって、「減産」を強いられてライバル社はさらに苦境に立たされる見込みで、世界のメモリー市場はサムスンと米マイクロンの2強体制に集約されるもようだ。