サムスン、LG、SK、現代・起亜自動車、浦項製鉄などの大手企業が、中国のWTO(国際貿易機関)加入をにらんで、中国市場攻略に拍車をかけている。これら企業は、中国を「第2の内需市場」に定め、本格的な中国への拠点づくり乗り出しており、全般的な投資自粛ムードにもかかわらず、中国向け投資だけは拡大する動きをみせている。
サムスンは、中国に国内と同じような「サムスングループ」を形成する計画で、来年初めに中国法人を設立、系列社の統括と各種情報収集、現地でのネットワーク構築をめざす。サムスン中国法人は、規模や機能の面で米国、日本、欧州の現地法人より格付けがワンランク上になるという。
業種別では、電子、情報通信、金融を中国進出の先鋒に位置付けている。電子では、半導体の販売法人を設立したのに続き、PDP工場の新設、ブラウン管工場の拡張を検討。情報通信はCDMA(コード分割多元接続方式)通信回線の受注を追い風に、来月予定されている1500万回線の受注に力を注ぐ。
さらに、今年4月にサムスン火災が支店に昇格したのを契機に、保険事業でも中国市場の攻略を図り、サムスン生命の現地進出を急ぐ考えだ。
LGは、電子と化学の2本立てで中国市場の攻略に取り組んでいる。LG電子は、中国での売り上げを昨年の25億ドルから今年は37億ドルに伸ばし、来年は50億ドルを達成する計画だ。また、1次入札に失敗したCDMA事業の2次入札で受注をめざす。LG化学はABSとPVCの現地生産能力を来年までに現在の2倍水準の30万トンと34万トンに引き上げる方針だ。
SKは、情報通信とエネルギーで勝負をかける。情報通信分野では、中国最大の移動体通信サービス会社チャイナ・モバイルと国際ローミングの共同マーケティング契約を結んだのに続いて、チャイナ・ユニコムともCDMAの技術契約を結んだ。エネルギー分野では、未開拓の環境エネルギーに集中し、LPG(液化石油ガス)供給事業を遼寧省や吉林省に拡大していく。
一方、現代自動車は、WTO加盟後、5年をかけて段階的に自動車市場が開放されることから、いまのうちに布石を打つねらいだ。まず、昨年設立した年産5万台規模の小型車合弁工場に2003年までに3億ドルを投資し、年30万台に生産能力を拡大するとともに、生産車種の多様化を図る。
浦項製鉄は、中国が進めている過去最大のプロジェクト「西部大開発」事業への参加が当面の目標だ。さらに、ステンレス、冷延製品、電気鋼板、カラー鋼板など高級製品で市場を攻略する考えだ。このため、2003年までに1億ドルを投資し、中国での生産能力を2003年までに現在の2倍に拡大する方針だ。