米国のテロ報復攻撃が開始され、サムスン、LGらの大手グループ企業は「非常経営体制」に突入した。財界はゼロ成長、原油高騰という最悪のシナリオを想定し、紛争の長期化、戦線拡大、追加報復テロの発生など不足の事態に備えた対策に頭を痛めている。企業は全世界の現地法人を対象に生産と人員管理など24時間の点検体制を敷く一方で、物流の確保や新規販路の開拓などに追われている。業界の動きを追った。
■製 油
「第2の湾岸戦争」に拡大した場合、深刻な被害が予想され、SK(株)とLGカルテックス精油は最悪の事態を想定して代替輸入先の確保を急いでいる。SKは中東産原油を12月分まで確保しており、当分は原油導入と輸送に問題はないが、長期化に備えて西アフリカと北海および南米産の原油の確保を考えているという。中東産原油に64%を依存するLGは44日分しか備蓄がなく、インドネシア、東南アジア、アフリカ、アラスカなどの供給ルートを確保しようと賢明だ。
■海 運
現在紛争が内陸に限られており、運航遅延など影響は少ない。現代商船は現在ドバイ港にコンテナ船1隻を停泊、24万トンクラスのタンカーがサウジアラビアに近々入港する予定で、スケジュールの変更はない。韓進海運もLNG船1隻がオマーンに入港している。
韓国海洋水産開発院は、「攻撃が短期間で終われば保険料の引き上げを運賃に上乗せし補完できるが、長期化した場合は危険地域の運航規制で大変なことになる。迂回の運航費用負担などで経営が圧迫されるだろう」と分析する。
■航 空
乗客減少、原価率上昇、保険料引き上げなど問題が次々と押し寄せ深刻だ。米国の同時多発テロ以後、平時で70%程度だった米路線の搭乗率が50―60%に落ち込み、国内線も5―10%減少するなど客足が遠のいている。さらに拡散すると、航空業界は存続の危機にさらされかねない。
99年に比べ60%以上燃料代が上がり、大韓航空は今年だけで4000億ウオンの追加負担が発生した。ウォン安も収益悪化を助長する。23億ドルの外貨負債を抱える大韓航空は1ウオン安くなるごとに23億ウォンの為替差損が生じる。
■建 設
アフガニスタン現地には工事現場がないが、戦火が中東全域に飛び火した場合、未収金の発生など財産被害はもちろん人命への被害も憂慮される。中東22の現場に600人の社員を派遣している現代建設は、沈鉉栄社長が自ら現地を訪れ安全対策を講じる方針だ。