景気の低迷が長期化するなかで発生した米国の同時多発テロとそれに伴う米の報復攻撃を控え、国内の航空会社、ホテル、旅行会社は、営業に大きな支障が出はじめ、対応に追われている。航空会社は一部米路線や、乗客の少ない国際路線の運航を廃止、保有飛行機の売却に乗り出した。またソウル市内の特級ホテルは、観光客の減少を見込んで人員削減などリストラを開始した。秋夕(旧盆)の連休を控えているにもかかわらず、旅行客は例年の半分に落ち込み、旅行業界は通貨危機以来の連鎖倒産の危機に見舞われている。
大韓航空(KAL)は、テロ事件で航空需要が激減したことを受け、仁川―ニューヨーク、仁川―LA―サンパウロ、仁川―ダラス―アトランタ、仁川―アムステルダム、仁川-チューリッヒの国際線5航路の運航を中断すると発表した。
また毎日運航していた仁川―東京―LA路線についても、月曜日と水曜日は東京止まりに変更、仁川―ホノルル路線も週7便から4便に、仁川―ワシントン路線は週3便から2便に減便する。大韓航空は今回の運航中断・減便で国際線の運航便数が週330便から309便に減る。
コストの増大で1400億ウオンの赤字が発生すると予測しているアシアナ航空も、国際路線の運休と減便を確定した。
また、今回のテロ事件で客室予約のキャンセルが相次ぎ、予約率が70%を下回っているソウル市内の特級ホテルは、今後の不況に備え、リストラなど本格的な構造調整に着手した。
ウェスティン朝鮮ホテルは、希望退職者の申請受け付けを開始し、すでに課長クラス以上の20人を早期退職させた。新羅ホテルも在職15年以上の次長クラスを対象に希望退職を募っている。
このほか、旅行業界は、期待していた秋夕特需が、米テロで完全に吹き飛ばされてしまった。昨年は秋夕連休を利用して東南アジアなどに出かける旅行客が多かったが、今年はハイジャックを恐れて予約客が激減。ロッテ観光開発はキャンセル率が20―30%に達しており、業界は大きな打撃を受けている。