米国のテロ事件で、サムスン、LGなど主要企業は今年の経営計画の全面修正に乗り出している。年初に立てた経営計画が、国際金利、為替の変動など経営環境の変化で狂いが生じてきたためだ。特に電子、半導体、自動車など輸出産業は、今回のテロで輸出貨物が滞貨し、大きな損害を被るなど打撃を受けており、各企業は輸出の点検作業を急ぐなど、今後のリスク回避に懸命だ。
サムスンは、構造調整本部とサムスン経済研究所を中心に、年初の経営計画を再点検している。サムスン経済研はテロ発生直後、内部報告書で既存の経営計画を全面的に見直す必要があると指摘、グループ最高経営陣に再調整することを提案した。これに伴いサムスンは、国際環境の悪化に対応した非常経営体制に入った。
特に輸出の主力品目である半導体を積んだ貨物機が、テロ直後に米国に入れず、カナダのバンクーバー経由となったことや、仁川国際空港で足止めされ、輸出に支障が生じた。今後、米軍の中東攻撃が始まれば、再び国際航路の運航中断という事態もありえるため、サムスンは、非常事態の輸送手段なども検討している。
LGも上半期の経営指標の基礎となった為替、国際原油価格、経済成長率などの修正をにらみ、経営戦略の全面的な見直しを図っている。LG関係者は「系列会社別に緊縮経営を強化し、国際金融市場の混乱と石油など原資財価格の上昇に備えた体制をとる」と話している。
現代自動車は、テロ直後にニューヨーク港が閉鎖されたため、現代車2000台余りを積んだ運搬船が迂回するなど、影響を受けた。さらに、全米各地のディーラーが営業を中断したため、米国での販売をしばらくストップせざるをえない状況だ。今回のテロで最大の輸出市場である米国の景気が大きく冷え込めば、今年の輸出計画にも狂いが生じる。
また現代自は、米国のテロよりも中東地域に対する米国の報復攻撃が自動車販売に悪影響をおよぼすとみており、今年下半期から来年上半期までの販売計画を再点検している。
このため、現代自は鄭夢九・会長主宰の緊急対策会議を開き、米国をはじめ主要輸出国の情報を逐一入手して分析するとともに、物流の確保に全力をあげて取り組むことを決めた