韓国のIT(情報技術)業界に価格破壊の波が押し寄せている。各種行事やイベントを行い価格を半額にしたり、70―80%まで割引する「爆弾セール」も相次いでいる。以前は市場占有率の少ない後発業者が売り込みを図るために割引販売をさかんに行っていたが、最近では市場基盤を整えた大手業者まで割引合戦に加わっている。この現象は世界的なIT景気の沈滞によるもので、「出血競争」が市場の混乱を招くと憂慮する声が上がっている。
IT市場が飽和状態に達し、価格を武器にした生存競争はますます激しくなってきている。各企業は過剰投資によって増えた在庫の整理、シェア拡大、知名度アップをねらい、安売り競争を繰り広げている。
企業を対象にしたインターネットサービス業界では、ここ1年半の間に関連会社が100社を超え、価格競争がし烈だ。SKネットツコは、5月から中小・ベンチャー企業を対象に従来の60%も安くサービスを提供。ケイアールラインは大企業、中小企業を問わず40%オフとしている。なかには10分の1の価格でサービスを行っている企業もあり、価格競争は泥沼の様相を呈している。
これに伴ってインターネットデータセンター(IDC)のサービス料金は昨年より40%も下がった。ヒハナパシフィック、リッチネットワークなど海外のIDC企業が続々と上陸、国内でも業界2位の大型IDC企業が誕生しており、激しい価格戦争が展開されている。
システム統合(SI)業界では、発注量が急激に落ち込み、低価格の入札が一般的となっている。金融機関から顧客管理(CRM)プロジェクトを受注した某社は、適正価格40億ウオンのところを赤字覚悟で20億ウオンを提示し落札したという。
コンピューター分野では中小企業を中心に低価格競争が繰り広げられている。電機街ではペンティアム4搭載のパソコン本体が昨年の3分の1の98万ウオンで売られているほどだ。サムスンと三宝は150万ウオン台、現代マルチキャップは120万ウオン台で販売している。
LG経済研究所は、低価格競争は企業の収益性を悪化させ、研究開発投資の縮小を招くため、新技術、新製品の開発が遅れ、結果的に景気回復を遅らせる可能性があると指摘している。