毎日経済新聞がサムスン電子、SKテレコムなど国内の大手企業14社を対象に現金保有高を調査したところ、昨年末で10兆9515億ウオンだった現金保有高が今年6月末には16兆5617億ウオンに大幅に増えた。これは、今年上半期に企業が過去最大の収益を計上した半面、設備投資に消極的で内部留保金を増やしたためとみられている。この傾向が続けば、将来的には企業の成長力が弱まるとの声も出ている。
サムスン電子の現金保有高は昨年末の2兆8000億ウオンから今年6月末現在で5兆5000億ウオンに増えた。このままいくと、年末には7兆―8兆ウオンに増えるもようだ。また現代自動車は、昨年末の4兆2000億ウオンから6月末で6兆ウオンに跳ね上がった。
このように大企業の現金保有高が急膨張しているのは、上半期に営業利益が過去最大を記録したことと、米国の景気不安などを憂慮して設備投資を控えたためだ。また通貨危機の経験から負債を大幅に減らし、利子の支払いなど金融コストがかなり減った。
一方、韓国銀行が調査した企業の預金、株式、債権などを合わせると、今年3月末現在の金融資産は513兆6764億ウオンに達し、過去最高を記録した。昨年3月末より58兆ウオン増え、昨年の企業の設備投資額60兆5936億ウオンの約10倍に相当する。この勢いが続けば、年末には企業の現金資産が600兆ウオンに達する見通しだ。
企業の流動性が高まれば、それだけ急変する経営環境への対応能力が高まるが、内部留保が異常に膨れ上がって投資時期を逃すと、成長の原動力が落ちると懸念される。
米モルガン・スタンレーは、最近発表したレポートで、「韓国は輸出で大規模な黒字を出しながら、それに見合う投資を行なっていない。これがウォン高をあおっている」と指摘し、結果的には企業の黒字縮小と経済成長率の低下を招くと警告している。