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2002/06/28

<韓国経済>ワークアウト 47社が再建に成功

 通貨危機で韓国の金融市場が混乱の最中にあった98年6月24日、国内33の金融機関(相互信用金庫を除く)の代表が「企業構造調整を促進するための金融機関協約書」に署名した。これによって政府の経済政策の柱となる「ワークアウト」(財務構造改善作業)がスタートした。ワークアウトは金融機関や企業の連鎖倒産を防ぐ役割を果たしたが、再生の可能性がない不良企業の延命手段として悪用されるなど副作用ももたらした。誕生から4年、ワークアウトに対す評価は賛否両論が渦巻いている。

 98年以後、ワークアウトの対象となった企業は計96社。しかし、他社に吸収合併された17社と分割された4社を除くと、実際に再建の対象となったのは75社だった。このうちワークアウトを早期に解除(28社)または自主推進(19社)に転換し、再建の道を歩きはじめた企業は47社。

 現在21社はワークアウト進行中で、残り15社はワークアウトに失敗し、清算されたり法定管理(会社更生法)に入った。

 現在ワークアウトが進行中の21社の中で再建の可能性が高い企業は、大宇建設、大宇インターナショナル(旧大宇貿易部門)、新東邦、南星アルミニウムなどで、年内にも自主再建に転換され、事実上ワークアウトが解除される。KPキャピタル(旧高合)、大宇精密(旧大宇通信)、東邦生活産業、大宇自動車販売なども来年以後には自主再建が可能になる見込みだ。

 ワークアウトは財務の健全性を高め、公的資金の投入を最小化することに寄与した。韓国開発研究院(KDI)によると、大宇系列12社を除くワークアウト企業の債務は合わせて35兆ウオンにのぼるが、すべてを法定管理で処理した場合、公的資金の投入額は20兆ウオンになるという。

 一方、ワークアウトがもたらした大きな問題点は、自主再建できない企業を救おうとするあまり、むしろ不良を増やしてしまったことだ。

 政治的な配慮や株主、従業員、下請け企業などの反発に勝てず、政府や債権団が条件を満たさない企業までワークアウトの対象に含めてしまった。

 代表的な例が大宇自動車と東亜建設。債権団はワークアウト期間中に大宇自動車に2兆2000億ウオン、東亜建設に1500億ウオン近い新規資金を支援した。しかし2企業とも失敗。大宇自動車は法定管理に、東亜建設は清算された。ワークアウトを経ず、すぐに法定管理や清算を実施していれば巨額の資金が水泡に消えずにすんだ。

 ワークアウトがもたらしたもう一つの後遺症は、モラルハザードだ。ワークアウトが始まると、金融機関は貸出金の満期を延長し、必要ならば追加の支援をし、出資転換した。これによって見かけの財務構造が良くなり、経営指標と内実とが一致しない企業が増えている。