サムスン電子が世界で初めてナノ技術を活用したギガ級大容量メモリーの量産技術を開発、半導体の「ギガ・ナノ時代」の幕を開けた。サムスン電子は、回路線幅が90ナノ(ナノは10億分の1)㍍の工程技術を活用して2ギガフラッシュメモリーの試作品の生産に成功、世界の半導体メーカーとの技術格差を大きく広げた。
サムスン電子の黄昌圭・半導体メモリー事業担当社長は、ソウル市内のホテルで「夢の技術」と呼ばれる90ナノDRAM量産技術を開発したと発表、業界初の2ギガNAND(データ記憶用)のフラッシュメモリーの試験生産に入ったと明らかにした。ナノ技術を活用した半導体の量産は、米マイクロンテクノロジー、インフィニオンなどライバル社との技術競争で1年以上先行するもので、米インテルより半年以上早い。
ナノは半導体の工程技術の壁といわれた0・10マイクロメートルを飛び越える超微細加工技術。0・12マイクロメートル工程よりも生産性が2倍高いため、市場でのシェアを大幅に拡大できる。
2ギガNANDフラッシュメモリーは、親指の大きさの4ギガバイトクラスのメモリーカードの製造を可能にする。このメモリー容量が実現すれば、音楽CD70枚、映画・ビデオ4本分のデータが収録できるようになる。
サムスン電子は、メモリー技術の急速な発達に伴い、これまで記録媒体として使われてきたマグネチックテープ、フロッピーデスクなどが市場から消えるとみており、2005年には情報技術(IT)の進展で、すべてメモリー半導体に代替されると予想している。これに伴いサムスンは、2005年の非メモリー部門の売上高を140億ドル、2010年には250億ドルを見込んでいる。
サムスンは、次世代半導体の300ミリ(12インチ)ウエハーの専用ラインに対する投資を本格化し、遅くても来年7月から90ナノ技術を活用したメモリー製品の量産に入る。当初は月1万5000個以上の512メガ高性能DRAMと3000個程度のフラッシュメモリーを生産する計画だ。