ここから本文です

2002/07/19

<韓国経済>決済通貨をユーロに転換

 急速なドル安・ウォン高が進行、ソウルの外為市場で1㌦=1170ウオン台に突入した。20カ月ぶりの最高値だ。多くの企業は今年の採算ラインを1200―1250ウオン台に設定していただけに影響は甚大で、為替リスク管理に懸命だ。特に電子、自動車など輸出比重が高い業界では為替リスクを減らすため、決済や保有外貨をドルからユーロやその他通貨に切り替える動きが広がっている。また、米国中心の輸出先を欧州や中南米、東南アジア、アフリカ地域に多角化する戦略転換する動きも起こっている。

 サムスン電子は昨年までドルの決済比率が80%、ユーロ10%、その他10%だったが、今年に入ってドルの比率が70%に引き下がった代わり、ユーロは2倍の20%高まっている。同社の場合、欧州との取引の場合もユーロ表示取引は3分の1に過ぎず、為替変動に脆弱だった。このため昨年後半からユーロ高に備えた戦略を立案、実行に移していた。同社関係者は「欧州への輸出が増え、ユーロの比率も高まった。東南アジア、中南米などとの取引の際もユーロ決済を要求、戦略的にユーロの比重を高めている」と明らかした。

 ドルあたり100ウオン切りあがれば2000億ウオンの売上げ減になる現代自動車もユーロの決済比率を高めている。現在の比率はドル70%、ユーロ20%だ。現代自関係社は、「当社は北米向けの輸出比重が高いのでそれだけ影響も大きいが、対策としては決済通貨のユーロへの切り替えのほか、ドル決済代金を即時ウオンに換金し、保有外貨もドルからユーロに替えている」と述べた。

 輸出が80%を占める典型的な現代重工業は、2、3年後に1㌦=1100以下になると想定、今後本格的にユーロに切り替えていく方針だ。同社関係者は、「欧州船主が絶対的な比重を占めている新造船市場と最近受注が拡大している北海、地中海、アフリカ西岸地域の海洋・プラント工事に対してはユーロで契約を結んでいる」と明らかにした。

 LG電子もユーロ比重を10%から15%に高めており、昨年からは欧州向け輸出はすべてユーロで決済している。1ウオンのウォン高で4億ウオンの純益が減るLG化学は、ユーロをはじめドル以外の通貨で決済する比率を高めている。輸出比率が北米(30%)より欧州(35%)の方が高い韓国タイヤは、「今後輸出市場をさらに多角化し、為替変動に強い体質をつくる」計画を立てている。

 ユーロは、最近のドル安で1㌦=1ユーロを記録。欧州委員会では、ほぼ2年5カ月ぶりの等価(パリティ)を復活したことを歓迎している。強いユーロがインフレを抑え内需を支えるため望ましいと判断しているからだ。このような欧州委の判断なども考慮すると、今後韓国企業のドルからユーロへの切り替えはさらに加速がつきそうだ。


 急速なウォン高で今年の輸出戦線に非常がかかっている。韓国貿易協会によると、業種別主要92社を対象に設問調査した結果、「ドル当たり1200ウオン台でも輸出計画に支障が生じる」との回答が75・9%に達した。輸出採算性に対しては「悪化する」が78・3%にのぼった。

 貿易協会の関係者は、「調査時点の為替レートが1㌦=1196―1181ウオンだったので、それ以降さらにウォン高が加速しているので影響は一層大きい」と語った。特に中国との競争力が低下すると心配している回答が多かった。


 韓国銀行は17日、外貨保有高が15日現在で1150億1200万㌦に達したと発表した。これは6月末に比べ25億7400万㌦増えている。

 韓銀は保有外貨の運用収益とドル安による円・ユーロ資産のドル換算額が増大、外為市場の安定させるため市場介入(ドル買い)し、保有額が増えたと説明した。6月待つの外貨保有高は香港と同水準の1124億㌦で、日本、中国、台湾に次いで香港と世界共同4位だった。