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2002/06/21

<韓国経済>外貨保有高が急増

 韓国銀行は、外貨保有高(外貨準備高)が持続的に増加し、今月15日現在で1105億1700万ドルに達したと発表した。特に今月に入り15日間で8億8700万ドルも増え、世界4位の香港(1113億㌦)との差が急速に縮まっており、年内に韓国は香港を追い抜く見通しだ。

 通貨危機に陥り外貨が底をつきかけた97年末の韓国の外貨保有高は39億4000万ドルに過ぎなかった。外国人が一斉に韓国から外貨を引き揚げたために国家不渡りの危機に見舞われた。これにこりて政府は、その後外貨保有高を増やし、昨年9月には1000億ドルを超えた。

 国際通貨基金(IMF)は、適正外貨保有高の目安として、新興国は満期1年以内に償還する短期外債と危機発生時の資本流出規模を合わせた額以上を確保するよう勧告している。資本流出規模は為替の固定相場制を採用している国家では総通貨の10|20%、変動制をとる国では同5―10%と推定される。これに国家リスクを加えて算出すると、韓国の外貨保有高の最低基準は632億8000万―704億5000万ドルとなる。

 これをみると、現在の保有高1105億㌦は十分すぎる規模だが、韓国銀行は外国人の証券投資が約900億ドルに達し、韓国企業の海外借入金(約200億ドル)を考慮すると安心できないと分析している。

 外貨保有高は国家にとって「非常食糧」の意味を持つ。非常事態が発生したときに、いつでも現金化できるよう、韓国銀行は外貨保有高の大部分を米国の国債など安定性に優れた有価証券(6月15日現在85%)で運営している。しかし、米国の国債は年利2・9―4・8%に過ぎず、最近のドル安で目減りが激しい。

 このため韓国銀行は、外貨保有高の運用商品を多様化することを検討中で、海外での委託運用に乗り出した。

 また、政府内部からは外貨保有高を効率的に運用するため、半官半民の専門投資機関を設置してはどうかという意見も出ている。産業資源部は、外貨保有高の活用案として、▽外国債務の早期償還▽公的資金投入分のうち政府負担分を補填▽ファンド(約200億ドル)を設立し、運用収益を産業支援に回す――などを提示しており、今後、外貨をどのように運用するか論議を呼びそうだ。