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2002/05/24

<韓国経済>ウォン高が急進展

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    ウォン高で造船などに影響が出そうだ

 急激なウォン高が続くなか、政府が1年ぶりに為替市場に本格介入した。政府資金でドル買いに動いたが、政府の市場介入にもかかわらず、20日のソウル為替市場でウォンは前日よりも8ウオン高い1253・60ウオンで取引を終えた。これは昨年2月28日に1250・80ウオンを記録して以来、1年3カ月ぶりの最高値。

 急激なウォン高進行に田・財政経済部長官は記者会見で「ウォン高の速度が憂慮される」とし為替市場に介入する用意があることをほのめかした。取引終了直前に産業・輸出入銀行といった国策銀行が介入し5000万ドルのドル買いを実施した。一方、財政経済部は急騰するウォンを抑制するため、20日午前、外貨表示の外国為替安定債券(5年満期)5000億ウオンを発行し、このうちの一部を為替市場でドル買いに使用、この日政府が獲得したドルは2億ドルに近いと伝えられている。

 財政経済部関係者は、「最近のドル安でウォンが急速に上がっている」とし、外国為替安定債券の発行を通じて調達した資金を市場の動きに応じて投入する」と語った。

 現在、政府が直接介入のために使用できる外国為替安定基金は1兆9000億ウオンで、ドルに換算すると15億ドルにのぼる。

 今回の急激なウォン高の要因は米ドルの弱勢。米国は90年代初めと同じような財政・貿易の赤字に見舞われ、ウォン高にもかかわらず外国人が韓国市場への投資を積極的に推進、国内企業も保有するドルを為替が変動するたびに市場に放出しているためだ。今後も米国の双子の赤字が拡大する懸念があり、ウォン高傾向が続くと政府はみている。当面、政府は1ドル=1250ウオンラインを守ることで調整を図る考えだ。

 なお円もウォンと歩調を合わせて上昇しているが、輸出に与える影響はそれほど大きくないと分析されている。しかし、今年上期の為替を1ドル=1280~1300ウオンと予想していた企業のほとんどは経営戦略の見直しを迫られている。また今後、円の動きによっては1ドル=1250ウオンを割ることも予想される。

 最大の問題はウォンの上げ足が速いことだ。20日の為替は今年最高値をつけた先月12日の1332ウオンに比べ80ウオン近く高い。為替リスクの大きい国内企業にとっては、短期間での急激なウォン高が大きなダメージを与えるのではないかと憂慮されている。