ここから本文です

2002/05/17

<韓国経済>ビッグディール3社が完全再生

 通貨危機以後、重複投資を解消するためビッグディール(企業の大規模事業交換)が実施されたが、そのなかで鉄道車両、航空機、船舶エンジンが本格的な跳躍期を迎えている。ロッテム(鉄道車両)、韓国航空宇宙産業(航空機)、HSD(船舶エンジン)の3社は、昨年初めまで累積赤字が続き、ビッグディールの失敗例としてみなされてきたが、自主努力で息を吹き返し、現在では世界市場でトップを争うまでに成長している。

 99年7月、現代重工業、大宇重工業、韓進重工業の鉄道車両事業を統合して発足したビッグディール1号のロッテム(旧韓国鉄道車両)は、「一つ屋根の下に三つの労組」がひしめき、労使紛争と経営権争いで外資誘致に失敗、赤字が膨らんで一時は「ビッグディールの問題児」といわれた。

 しかし昨年9月、現代重工業が大宇の株式(39%)を買収し経営権が安定。また今年初めに社名をロッテムに変更し攻撃的な経営に転じてから状況が一変した。昨年11月に赤字が累積していた旧韓進の釜山工場を整理して負債を減らしたのが、正常化のきっかけとなり、経営も著しく好転した。昨年2億4000万ドルに過ぎなかった受注は、今年に入り4億ドルに達している。ロッテムは、2005年には鉄道車両で世界4位をめざすと強気だ。

 99年10月、サムスン航空、現代宇宙航空、大宇重工業の航空事業を統合して設立された韓国航空宇宙産業は、2010年までに世界10位に躍進する「ダブルテン(10・10)」計画を発表した。経常収支は昨年初めて30億ウオンの黒字を出したが、今年は当期損益も昨年の600億ウオンの赤字から114億ウオンの黒字に転換する計画だ。

 同社は、来月にも国内技術で初開発した超音速航空機T50高等訓練機のテスト飛行を開始する。国防部と2011年までに100機(20億―30億ドル)を納入する契約を結んでおり、航空機開発に拍車がかかっている。また昨年6月に瑞山工場を閉鎖し、大規模赤字のB717航空機の製作を中断するなど構造調整にも成功した。

 99年12月、斗山重工業(旧韓国重工業)とサムスン重工業の船舶エンジン部門が合併した後、2000年8月に大宇造船が資本参加して誕生したHSDも、生産が統合前の年間176万馬力から昨年は385万馬力に急増。今年は収益性の高い選別受注で経営が安定している。