政府は永宗島、松島新都市、金浦埋め立て地など首都圏西部地域の約132平方キロメートルを来年にも経済特別区域に指定し、東北アジアのビジネス拠点として集中開発すると発表した。今年6月までに細部計画をまとめ、外国企業を誘致するための税制優遇措置やインフラの整備など具体的な構想を打ち出す。
首都圏経済特区構想は、金大中大統領が主宰して開かれた国民経済諮問会議で、「東北アジアビジネス中心国家実現のための基本青写真」と題した報告書を通じて明らかにされた。それによると政府は、永宗島などの経済特区を含む首都圏西部地域5カ所を2020年まで3段階に分けて集中開発する。
同報告書によると、▽永宗島は関税自由地域など航空物流の拠点とし、観光およびレジャー団地を造成▽仁川市が10年間、米G&Wから127億ドルを誘致して開発する松島新都市は、多国籍企業のアジア太平洋地域本部とテクノパークや知識基盤産業の国際ビジネス拠点として開発▽金浦埋め立て地に花卉輸出団地や国際金融機関を誘致▽ソウル上岩洞にデジタルメディアセンターを設立、情報およびデジタルメディアを誘致し文化コンテンツ産業の中心地に育成▽高陽市に観光・宿泊機能を備えた国際展示場を設置する。
一方、経済特区については、年内に特別法を制定し、来年にも松島・永宗島・金浦埋め立て地の3カ所を特別開発地域に指定する。特区に進出する外国企業に対しては、3年間は法人税、取得税、登録税を100%免除し、以後2年間は50%減免するなど各種税制優遇措置を講じる方針だ。
また特区内での外国人の生活に不便がないよう専用住宅団地、専用病院、薬局、カジノなどを設置し、英語を公用語として使用することなども盛り込んでいる。
政府は、韓国をシンガポール、香港に負けない国際ビジネスの中心地に育成していく方針で、これまで国土開発の中心軸であった京釜(ソウル―釜山)軸を、仁川国際空港を中心とする西部軸に移行する考えだ。これに合わせて主要港湾と国土を網羅する物流システムの整備を進め、釜山と光陽港の「メガハブ港湾」構想にも力を注ぐ。
しかし、これらのプロジェクトには巨額の財源を要し、開発期間も18年間におよぶことから、政権交代期を迎えている現在、構想どおりに実現できるのか、政財界から疑問の声も挙がっている。