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2002/01/01

<韓国経済>景気回復は下期に

 韓国は昨年、IMF(国際通貨基金)からの借入金を全額償還し、97年末の通貨危機に端を発した経済難を完全に克服した。しかし世界的な不況に米の同時多発テロが追い打ちをかけ、輸出の低迷が続くなど韓国経済は依然として厳しい環境にある。二ケタの高度成長を維持してきた韓国は、昨年のGDP(国内総生産)成長率が2%台に落ち込んだ。今年も米テロの余波で景気の回復が下半期にずれ込むと予想されることから、成長率は3%台にとどまり、2年連続で低成長となる見通しだ。韓国銀行、産業研究院の分析をもとに、2002年の韓国経済を占う。


韓国銀行

 世界の景気展望は、米国の景気沈滞の影響で2002年に入ってもしばらく低迷が続き、回復は米国経済が立ち直る下期以降になる見通しだ。

 2002年の韓国経済を予測すると、上半期は、消費および建設投資が増えるが、輸出および設備投資が依然として不振で、GDP(国内総生産)成長率は3%台にとどまる。下半期は米国経済の好転で輸出が拡大し、設備投資も多少伸び、成長率は4%台になると予想され、年間では3・9%の成長を達成できるもようだ。

 設備投資は、上半期まで不振が続き、輸出条件が好転する下半期から企業の投資心理が改善し増加に転じるが、最近の低稼働率を考慮すると大きな設備投資の伸びは期待できない。

 輸出(物量基準)は世界市場での需要減退で上半期は低調だが、下半期に米国経済が回復するとみられ、年間で4%内外の増加率を達成。通関ベースでは、年間2・8%の伸びとなる。品目別では通信および自動車輸出が好調を維持し、下半期以降は半導体、コンピューターなども小幅の増加に転じるが、鉄鋼・金属、加工品などは不振が予想される。

 輸入(通関ベース)も上半期は減少が続くが、下半期に入って内需および輸出が回復し、機械類など資本財を中心に比較的高い増加を示し、年間5・8%程度伸びるだろう。

 サービス収支は上半期にサッカーW杯に伴う観光収入増が予想されるが、下半期以降の景気回復で海外旅行者が増え、特許権使用料などの支払いも増えることから、昨年より悪化する見通しだ。これに伴い2002年の経常収支は50億㌦内外の黒字となり、昨年より黒字規模は縮小するとみられる。


産業研究院

 2002年は米国経済が緩やかな回復局面を見せ、2%内外の成長率を記録するものと予想される。99年に12・4%の高い伸びを示した世界の貿易量は、世界経済の鈍化と米テロ事件の影響で4・0%増にとどまったが、今年は5・7%増に回復しそうだ。

 実質GDP成長率は上半期に2・5%、下半期に4・8%、年平均で3・7%となる見通しだ。これは5―6%と推定される潜在成長率2年連続で下回ることを意味し、このような傾向が長期化すると、潜在成長率の低下を招くと懸念される。

 民間消費は経済環境の悪化と国内景気の不振で回復せず、第1四半期まで不振が続くと予想される。しかし、第2四半期からは政府の内需振興策の効果が表れ、消費者の不安心理が解消、下半期からは本格的に回復する。これによって、民間消費増加率は上半期2・0%、下半期3・5%、年間2・8%となるもようだ。

 金利下落、政府の景気浮揚策、IT産業の再跳躍など肯定的要因と、世界景気回復の遅れ、輸出環境の悪化、IT産業の低迷など否定的要因が交錯するなか、設備投資は第1四半期まで減少が続くが、第2四半期から回復局面に入り、上半期は2・3%減、下半期は実物経済の回復で12・5%、通年で7・4%を記録する。

 貿易収支については、景気の回復で輸出(6・0%増加)より輸入(7・9%増加)が大幅に伸び、黒字規模は昨年を下回り74億㌦にとどまる見込みだ。
 消費者物価は為替の上昇で原資材価格が低下し、年平均3・5%の上昇にとどまり、生産者物価は上半期1・3%、下半期2・5%で、年平均2・0%以下となる見込みだ。