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2003/11/14

<韓国経済>米の鉄鋼輸入制限にクロ判定

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    セーフガードによって鉄鋼の対米輸出は26%も落ち込んだが、WTOのクロ判定で好転が期待される

 世界貿易機関(WTO)は、米国が昨年3月、韓国、日本、欧州連合(EU)など8カ国・地域の鉄鋼製品に対し発動した緊急輸入制限措置(セーフガード)が協定違反であるとする最終報告書を発表した。これによって、大幅な落ち込みをみせていた鉄鋼製品の対米輸出が回復に向かうとみられ、業界は安堵している。

 スイス・ジュネーブに本部を置くWTOの上級委員会は、10日(現地時間)に発表した最終報告書で、米がセーフガードを発動した10品目のうち、錫鍍金鋼板とステンレスワイヤーを除く8品目についてWTO協定違反と判定した。

 韓国、EUなど8カ国・地域は、米国がこれらの国・地域の鉄鋼製品に対し最高30%の関税を賦課するとしたため、昨年3月、WTO紛争処理小委員会に提訴した。

 WTOは今年7月11日、提訴国の主張を受け入れ、米国の鉄鋼セーフガードが関連協定に違反するという1次判定を下したが、米国はこれを不服として上訴していた。

 韓国政府は、米国がWTOの最終判定を履行しない場合、EU、日本などと協力し、強力な対抗措置を講じる方針だ。

 EUはWTOの最終判定直後、米政府がセーフガードを撤回しない場合には、米国製品に対し12月中旬までに23億㌦規模の報復関税を賦課すると警告しており、日本も報復関税措置をとると表明している。

 今回のWTOの最終判定で、韓国鉄鋼業界の対米輸出が息を吹き返すと予想されている。韓国の対米鉄鋼輸出は、昨年3月、米国が冷延鋼板と厚板など14品目に対してセーフガードを発動して以来、物量(159万2000㌧)基準で前年比26・4%、金額(6億6700万㌦)基準で26・2%減少した。

 しかし、米が判定を拒否した場合、貿易正常化にはさらに時間がかかる。WTOの判定は法的拘束力がないためだ。EUと日本が今回の判定が出る前から米国への報復関税を声高に叫んでいた理由もここにある。WTOの決定に従わないなら米製品に対し報復措置を発動するというのだ。

 韓国も、EUや日本のように報復関税など対抗措置をとるべきだとの指摘が出ている。しかし、対米輸出依存度の高い状況で、報復に出れば、鉄鋼以外の韓国製品の対米輸出に大きな支障が出る懸念がある。

 産業資源部の金昌圭・国際協力企画団長は、「韓国も米国に圧力をかける措置を考えているが、具体的な内容は明らかにできない」と話しており、今後の対応に政府は苦慮している。