韓国にも本格的な超高層住宅時代が到来した。昨年10月、ソウル市江南区道谷洞のサムスンタワーパレスの分譲をきっかけに超高層アパート(日本のマンションに相当)ブームに火がつき、建設ラッシュとなっている。しかし、これらの超高層住宅は、生活の利便性や安全対策が先進国と比べて劣っているとの指摘があり、今後の課題も多い。
最近、40階を超える超高層アパートが相次いで登場した。現在、入居中や近く入居を予定している超高層アパートは、大林産業の道谷洞アクロビル(99年12月入居)を含め5カ所にのぼる。
これに現代建設の瑞草スーパービル(今年10月入居予定)と錦湖建設のリチェンシア(今年11月入居)が加わる。またサムスン物産のタワーパレスⅢ(2004年5月入居)、現代産業開発の三成洞Iパーク(2004年5月入居)など、続々と超高層アパートが誕生する予定だ。
最近分譲された物件も40階を超える高層住宅が多い。現代建設は昨年末と今年、木洞ハイフェリオンⅡ(403世帯)と釜山海雲台ハイフェリオン(112世帯)を分譲した。すべて地上40階を超える。大宇建設が今年4月に釜山海雲台に分譲したトランプワールドセンタム(564世帯)も37階建てだ。
高層住宅が増えている背景には、何よりも自社の技術水準を誇示したいという建設会社の願望がある。
高層住宅を手がけるのは、現代建設、サムスン物産、大宇建設、大林産業、錦湖建設、ロッテ建設など、韓国を代表する建設会社で、施工能力を競う半面、地域のランドマークになることで、広告効果もねらっている。
さらに、高層アパートにはソウル、釜山など人口が過密する大都市の宅地不足を解消できるというメリットがある。また入居者の「眺めのいい家に住みたい」という欲求も、高層アパートブームの一因だ。しかし、高層アパートには、いくつかの問題点がある。まず、避難施設が不足していることだ。先進国では高層建物の場合、必ず20-25階ごとに退避階が設置されているが、韓国では関連規制がないために、退避階は設けられていない。万が一火災が発生すれば、大惨事になる恐れがある。排煙設備や避雷針の設置も不十分だ。
また分譲価格も問題だ。現代建設のスーパービルで坪(3・3平方メートル)当たり1100万-1600万ウオンと破格だ。地理的な好条件とあいまって、分譲価格は驚異的な値段がつき、不動産価格に悪影響を及ぼすと懸念されている。