サムスン電子が、メモリー半導体部門に新たに5000億ウオンを投資する。これによって、最先端の300ミリウエハーを加工する京畿道華城工場を増設する方針だ。低迷していた半導体市況が回復していることを追い風に、増設によってサムスンはさらに後続メーカーとの差を広げるもようだ。
サムスンは、月2万枚(第1工場11ライン7000枚、第2工場12ライン1万3000枚)の300ミリウエハー加工能力を持つ華城工場に新たに12ライン(1万4000枚)を増設する計画だ。また第1工場も拡張し、加工能力を3000枚増やし1万枚に引き上げる。
これによってサムスンの300ミリウエハー加工能力は、年末までに3万7000枚に増える見通しだ。さらに第3段階の増設も検討しているといわれる。サムスンが300ミリウエハー施設に力を入れているのは、従来の200ミリより1枚当たりチップ生産量を2・25倍に増やすことができ、競争力を高めることができるためだ。
ライバル社の独インフィニオンは、年末までに3万5000枚、米マイクロン・テクノロジーは5000枚の処理能力を備えるとみられており、これに対抗するのが目的だ。しかし、増設の時期はいまのところ未定だ。サムスンはメモリー半導体の市況が好転し、安定を維持できると判断した段階で着工するとしている。特に追撃をもくろむライバル社の技術水準をみて、投資時期を決定するもようだ。
現在ライバル社は、回路線幅0・11-0・13マイクロ(百万分の1)の技術水準にとどまっているが、サムスンは唯一0・10マイクロの技術を保有している。サムスンは技術的に優位に立っているが、技術開発競争はすさまじく、サムスンとて、のんきに構えてはいられない。このため、増設によってライバルとの格差をさらに広げたい考えだ。
サムスンの関係者は、「し烈な競争で苦境に立っているのはライバルも同じ」とし、第3四半期中には新規投資に踏み切りたいと話している。
インフィニオン、マイクロン、ハイニックス半導体などライバル社は、大規模な累積赤字に苦しんでおり、投資財源の確保が容易ではない。この点、サムスン電子は豊富な内部資金を保有し、優位に立つ。