盧武鉉大統領が6日から9日まで国賓待遇で来日する。今回の訪問では北朝鮮の核問題への対応が最大の焦点だが、経済部門ではFTA(自由貿易協定)締結問題が最大テーマに浮上している。小泉純一郎首相とは2月25日の大統領就任以来2回目の会談であり、両国間の協力問題を忌憚なく協議する考えだ。
青瓦台(大統領府)によると、今回の韓日首脳会談では大きく3つのテーマがある。第1は北朝鮮の核問題への対応。すでに韓米首脳会談、日米首脳会談で基本的な枠組みはできている。北朝鮮の核保有を容認せず、北朝鮮が挑発を強めた場合は「追加的措置」(韓米)「より強硬な措置」(日米)をとることで合意をみている。
韓日首脳会談では、武力による圧力をけん制した平和解決をめざした露中首脳会談の合意や、6月1日から始まるエビアン・サミットでの北朝鮮核問題協議も踏まえ、突っ込んだ話し合いをするものとみられる。緊密な協力で平和的解決をめざすことで韓日両首脳の見解は一致しており、北が強硬策をとらないように誘導する対策が焦点になりそうだ。
経済問題ではFTAが最大のテーマとなっており、前回の首脳会談でもFTA締結へ向け努力することで一致している。韓日間のFTA問題は、3年前に両国の研究機関が、早期締結の必要性を認めた共同研究結果を発表、本格的な論議を起こした。昨年からは政府も参加した政・産・学の共同研究会をスタートさせている。
日本経済側には早期締結の声が大きいが、対日貿易赤字拡大を懸念する韓国側には強い慎重論があるのも事実だ。今回の首脳会談では、これらの問題点を踏まえ、政府間交渉開始へ向けての環境整備を中心に協議する見通しだ。
これと関連、今年1月から韓日投資協定が発効したが、日本の対韓投資は冷え込んでおり、韓国側は投資拡大へ向け打開策を講じたい考えだ。盧武鉉大統領自身、経済会首脳との懇談、経済団体との昼食会でこの対韓投資拡大を特に求めるものとみられる。
今回の訪日には孫吉丞・全国経済人連合会会長はじめ経済5団体長ら経済界首脳も同行しており、対韓投資拡大を含めた経済的な関係強化を積極的に働きかけることになりそうだ。
第3のテーマは東北アジア経済中心国家構想実現のため日本の支持と協力を得ることだが、これは日本ではまだ十分認識されておらず、積極的な広報が必要だ。 国内の識者の中には、「FTA問題と東北アジア中心国家構想はコインの裏表の関係にあり、中国を含めた韓中日のFTA締結がなければ同構想は成功しない。韓国が物流、金融、情報産業を中心に生きていこうとするなら、これは必須だ」という指摘もある。
韓日間の今後の経済協力を考える上で、韓日共同市場をめざすFTA問題の行方が重要な意味をもっており、今回の首脳会談でどういう論議をするのか注目される。
青瓦台が発表した盧武鉉大統領の訪日スケジュールによると、訪日初日の6日に天皇・皇后両陛下との面談し両陛下主催の晩餐会に出席する。
韓国内には6月6日が顕忠日(戦没者慰霊の日)に当たるので日本の天皇との面談に否定的な声もあるが、青瓦台では「国賓訪問は元来1年前から準備しなければならないが、韓国側の要望を入れて特別に短期間で実現した。この時期を遅らせれば秋まで待たねばならないので了解してほしい」と協力を求めている。
7日に韓日首脳会談をもち共同記者会見もする。さらに8日には日本の経済界との交流をもち、在日同胞との懇談会が予定されている。注目すべきは「日本国民との対話」で、TBSテレビで放映される。盧武鉉大統領の肉声が茶の間に流れるので話題を呼びそうだ。9日午前には国会演説も予定されている。