イラク戦が長期化する様相をみせ、国内企業にも深刻な影響が懸念されるなか、サムスン電子がデジタルテレビなどに使われる液晶(LCD)パネルに1兆2901億ウオンを投資すると発表した。デジタルテレビの需要拡大をにらんで忠清北道・天安に新工場を建設し、世界市場でのシェア拡大をねらう。
サムスン電子によると、新工場は6ラインを備え、年内にもテスト稼働に入り、来年初めから量産を開始する計画だ。生産するのはヨコ1100ミリ、タテ1300ミリの大型ガラス基板を使った第5世代液晶パネルで、月6万枚の生産規模を誇る。
サムスンは昨年9月から5ライン(月産10万枚規模)を稼働しており、新ラインが完成すると、同社の生産能力は第5世代だけで計16万枚に達し、世界トップの地位が不動のものとなる。
サムスンの世界シェアは17%で、これを、5世代2ラインを稼働し月産12万枚体制を築いているLGフィリップスLCDが2位(世界シェア16・4%)で追っている。
台湾のAUオプトロニクス(友達光電)やクアンタ(広達電脳公司)などが5世代ラインへの投資計画を明かにしているが、資金事情で本格的な投資は今年第2四半期にずれ込むもようで、LCD市場は韓国メーカーの優位が続きそうだ。
サムスンは今回の大型投資に次いで、天安付近に新たなLCD団地を建設する予定で、上期中にも造成に入り、2005年から7世代ラインの建設に着手する計画だ。
LCD業界は、このような大規模投資で供給過剰に陥るのではないかと懸念している。しかし、サムスンは、新設6ラインで生産した製品は、最近需要が急増している17インチ以上の大型モニターや20インチ以上のデジタルテレビ向けに供給する予定であることから、問題はないと分析している。
サムスンは98年から5年連続で中大型LCD部門で世界シェア1位を維持しており、高成長が続く液晶市場で独走体制を築くもようだ。